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ee992 愛の逃避行【房代と修一】

  1.  房代と修一親子は、桜前線を追いかけるように、ふたりっきりの旅行を計画し、今北海道に来ている。 ホテルの部屋に入り、房代は窓辺に近寄り、心なし憂いを含んだ眼差しで遠くを眺めている。 「ねえ…」「なに?」「思い切って来てよかったわ」そっと房代は体を寄せてきた。 修一はしっかりと受け止めて、そっと唇を合わせた。 房代はソファーの上に座る修一の膝の上に、仰向けに体を預けた。 積極的な実母の行動だった…

  2.  まだ陽は高い。共に恥じらいもあれば分別もある。誰に気兼ねもいらないが、 今からベッドで愛し合う訳にはいかないという気がある。 親子は、束の間の逢瀬を楽しむかのように、激しい口づけと優しい愛撫を繰り返した。 互いに自制し、しばし不自然な姿勢のまま、抱擁を繰り返していた。 修一は健康に満ち溢れた大学生だ。 若い情熱の迸りは強い。だが、母房代は全てを彼に委ねて居る。 「このままで、私たち死んで逝けたら…」「…、…」「ごめんなさい。 ものの喩えよ。幸せだからなんだわ」 修一にはわかっている。 母と父との複雑な状況が、常に頭の中で暗雲を棚引かせていることを。 「すきだよ、かあさん!もう絶対に離さないよ」「修一、私も愛してるわ。 絶対離れないわ」ふたりはひとつ。たとえ今死んでも、二人の愛は永遠だ…

  3.  いつわりのない親子の言葉だった。「少し休もう?かあさん」「ええ、興奮して 眠れそうにないけど、横になってみるわ。そばに居てね。おねがいだから、私を抱いてて…」 その姿のままで二人は揃ってベッドに身を横たえた。修一の左腕の中に頭を預け、 母はうっとりと夢見る乙女然と、瞼を閉じて息子にすがりついた。 艶やかで軟らかい栗色の髪を優しく撫でながら、修一は掌中の珠を愛でるように、 目を細めて母房代を見守りつづけていた。やがて、彼の腕の中で行儀良く、静かな寝息が 微かに漏れている。安心しきって夢の中に遊んでるようだ。だが、軽く閉じられた瞼の 下から、一滴の涙の粒が光って、消えた…

  4.  母は全身全霊で信頼し、安心しきって全てを彼に任せている。 この母を幸せにする!と、彼は自分に力んでみる。それを察してくれたのか、 母は口元にほほ笑みさえ浮かべ、規則正しい微かな寝息をつづけている。 北国の夕闇は早く訪れる。六時近くになると外は真っ暗になった。 ようやく房代はうっすらと眼を開けて、黒い睫毛の陰からこの上もない愛しみを 込めた眼差しで息子の眼を見つめた。「私、いつも間に寝入ってしまったみたいね。 ああ、すっきりした」母は、はにかみながらも修一の腕にしがみ付いて離そうとしない。 「あなたが傍に居てくれる限り、なにがあっても大丈夫よね」  彼にはすごく意味深な言葉だ、「シャワーを浴びてくるわ」 「じゃ、一緒にいこうか」「だ〜め〜」「なんで?」 「だってヘンなことスルからよ」そうか、これからまだ夕食をとるんだ…

  5.  ホテルのラゥンジで夕食、房代はワインに酔った。部屋に引き上げて、 親子はどちらからともなく唇を寄せ合った。愛しくて 堪らないように、修一は優しく母の髪を撫で、頬に頬を触れさせた。 すぐに唇を奪い合い、互いに舌を絡ませた。強く激しく求め合った。 房代はうっとりと眼を閉じて、ワインに火照った頬をほんのり染め、息子の胸に しっかりしがみついて来る。緑の森に囲まれたホテルの一室、静寂が辺りを 覆い尽くして、親子ふたりだけの世界に浸っていく。尽きることのない愛の飛沫となって、 北国の夜はあてのない華やかな彩りを帯びてくる…

  6.  修一にとって、又、母房代の側に居れない生活が始まった。 空虚な毎日だが耐えるしかない。母房代もそれにじっと耐えている。  四月の中旬になっても、仙台は朝晩零度を記録し雪さえ舞った。愛知が実家の修一には、 まだまだ暗いみじめな時節に感じられる。時計の針が夜の10時を指したとき、アパートの呼び鈴が鳴った。 はっとなってドアを開けた修一の前に、黒ずくめの防寒服を着た母房代が立っている。「かっ、かあさんっ!」 修一の涙腺がいきなり弛んで、全開した。ボロボロ、ボロボロと、涙がとめど無く流れでて、頬を濡らした。それを見た房代は、あっ気にとられた。「どうしたのよ?メールしたのに…」 部屋に入った房代の着てる物に手をかけると、 「自分で脱ぐ…」と、房代は静かに呟いた。やがて、修一は自らの中に堰き止めていたものの、 すべてを解き放ち、実母の上におおいかぶさっていった。 (あぶなかった!ココを避難などしてたら、母と合う事ができななった!)と、安堵感が二倍にも三倍にもなって 彼を異様に興奮させ、最初の怒涛の放出を膣奥深くではじめた…


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